音楽を聴きながら満天の星を観る露天風呂
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満天の星をのぞむ露天風呂


私は遠い昔、大学生の時毎年夏は山小屋のバイトをしていた。

一年目は八ヶ岳、二年目は穂高、三年目は劔沢、四年目は白馬。

一年目の八ヶ岳で、知り合いになった当時本沢温泉と夏沢峠の小屋主だった原田さんに「内の風呂に入りに来い」と勧められ、本沢温泉(海抜2150m)に泊まりに行って、硫黄の臭いのキツイ露天風呂に入れてもらった。そこには満天の星があった。

四年目の白馬は白馬館に手紙を出し、バイトを申し込んだ。白馬館の松沢さんは、北から栂池、白馬大池、白馬山荘、馬尻小屋、鑓温泉、五竜、キレットの各山小屋の持ち主であった。
七月のある日、白馬の駅に着いて、とりあえずは白馬館に宿泊。私は七軒の山小屋で一番山小屋らしいキレットの小屋で働かせてもらうつもりで入った。しかし、「チヨットだけ下の仕事を手伝って」と言われ、白馬の大雪渓の下の登山口猿倉荘の前でやる、実にいやな仕事を手伝わされた。しかし諸般の事情により、この嫌な仕事が続いた。この登山口に現れるボッカさんたちに近づき聞いてしまったのです。「一貫め、いくらですか?」

当時のボッカさん一貫めいくらかの単価で山小屋の荷物を運んでおられた。

「頂上の小屋まで一貫め220円よッ」

(自分でも、十貫は担げる、となると2200円か、これはいいバイト賃になる。)

「ボッカやらせて下さい」と申し込んだ。

当時としても、学生の分際で自分からボッカをかってでる男は珍しかった。

たちまち、各小屋の連中の話題になった様子。

何度か鑓温泉の小屋にボッカに行くこともあった。

ここも天然温泉で海抜2100m。山の斜面を90度に切り、大きな浴槽を設けている。

この温泉の特徴は、なんと言っても眺めの良い所だ。

普通のボッカさんなら、荷物を降ろすとサッサと下ってしまう。ある時、私は学生気分でのんびりと景色を眺める。そして、ある日「お風呂に入らせてくれませんか?」と頼んでみたら、学生の分際でボッカに挑む変わった奴の心意気(?)が伝わったのか、支配人格の人(S氏?)が「オーッ、入っていけや」でした。

歌舞伎の世界で上手(?)から役者が現れ、観客席に向って、大手を広げて「絶景かな、絶景かな」と大見得を切る。そして舞台の下手(?)に向って、タタッと駆け込む。

あれですよ。浴槽の縁に立って、男の特権、腰の前にタオルをあて、見事な景色に見惚れ、

「絶景かな、絶景かな」と大見得を切る。

(ここで、夜、星を見ながら、湯につかったら、素晴らしいだろうな)

私は知らない、山の中で入る露天風呂であれ程、眺めの良いところは。

インターネットで尋ねてみたら、実に懐かしい鑓温泉の露天風呂が載っていた。
あのホームページの絵、大きくならないのが惜しいと思う反面、あの景色を楽しむなら、実際に行ってみるべきのだと自分に言いきかせる。

いつか必ず、鑓温泉で満天の星を眺め湯につかりにいこう。
あの温泉で満天の星に出逢えるのなら、鑓温泉小屋に何日も泊まって、満天の星に出逢えるまで帰りたくない。
私にはそう思わせるほどの、素晴らしい露天風呂だ。鑓温泉の露天風呂は。

 

話し変わって、私のペンションに露天風呂を作ってもらうなら、「満天の星を眺められるように」との要望を第一に出した。
「浴槽に屋根をかけるのは良いのですが、浴槽の一部を変形させてでもいいから、迫り出して浴槽の縁に両腕を乗せて真上を見たら星が見える様にして欲しい」との思いを建築会社の現場監督に申し入れた。

私には学生時代の思い入れがあり、「星を満喫できる事が出来ないなら、露天風呂はいらない」との考えがあった。

かなりひねくれ者なのでしょうね?

このひねくれ根性のはてが、変形した浴槽であり、寝転んで星を見ることの出来るサブの浴槽を作っていただくことに繋がった。

後はこのペンションの地の利、手前に田園風景、その向こうに緑の森、そして山々、その向こうに南アルプス連峰をとの幾重にも重なり合う眺望を生かす。これには今回の露天風呂を建設してもらった建築会社の社長をはじめ、皆の同意見。

別な要望として、浴槽に使う石へのこだわりと脱衣室から庭園の中の浴槽の側にフレシキビルなパイプを通し、簡単な効果をもたらす仕掛けを作ること。

パイプにスピーカーコード通し、浴槽につかりながら音楽を聴く。
自分の好きな音楽を聴きながら、満天の星を観る。

全天候型のスピーカーを探したが、大したものが見つからなかった。
此れがかえって、浴槽からは見えない仕組みになる事になった。
「この真空管アンプにこのスピーカーはないだろう」の程度なので、
最初気後れがしていたが、「お風呂の中でまで、オーディオ追求する人も少ないでしょう」とのお客様の励まして、ホームぺ−地に載せています。

とにかく、露天風呂を造ってもらうなら、満天の星をのぞみたい。

だから変形をした浴槽になり、おまけに寝転んでお湯につかり、満天の星を眺めたいの思いが通じ、すでに何度か夜の星空を楽しんでいる。メインの浴槽からは、少し体を乗り出すことにはなるが、夏の大三角も見える。いて座付近(仰角10度辺り)からの天の川も見ている。

「これだよ! これ! これがやりたかったのだ!♪!」です。

これが私の贅の限りを尽くした究極の露天風呂の願いと証です。

私一人、贅の限りを尽くしていると怖いものすらを感じますので、皆さんもご覧になりませんか?お風呂につかり音楽を聴きながら、満天の星を。

       
中学生の時より天文好きになり、高校生から山に入り、大学時代は不埒にも山を取ったなら何も残らない学生時代を送った戯け者のなれの果て 記